文献を読むシリーズ1『上顎前突の治療ガイドライン』を読む|ブログ|患者さんに寄り添ったインプラント治療なら能代にあるよつじ歯科・インプラント矯正歯科クリニック

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文献を読むシリーズ1『上顎前突の治療ガイドライン』を読む

日本矯正歯科学会が2014年刊行の上顎前突の治療ガイドラインを読みました。


 前書きには以下の様に記載されています。
日本矯正歯科学会診療ガイドライン策定委員会は「矯正歯科治療従事者等がエビデンスに基づいた診療に関
する情報を積極的に提供することにより、患者およびその家族などが疾病と診療内容を十分理解し、医療従事
者と患者が共同して疾病を克服するなど、医療従事者と患者等とのより良い信頼関係を構築すること。」を大
目的とし、よりわかりやすい行動目標(小目的)として、「わが国の実状に即した標準的な治療を明らかにす
ることにより基本となる診療ガイドラインの普及を図り、矯正歯科治療の意義ならびに標準的な診療内容に関
する情報を患者や家族に開示することで、国民が安心安全な矯正歯科治療を受けられるようにすること。」を
掲げました。


 これはなかなか意味深長な文章で矯正歯科治療を取り巻く環境と実情を改めて考えさせられる内容です。なぜガイドラインを作成したか?その理由を考えると分かることです。矯正歯科治療従事者がエビデンスにも基づかない治療をしている場合がある、からです。このブログでも指摘しているように無理な非抜歯拡大、適応症を誤ったインビザライン矯正は結構はびこっています。

また、以下のような記述があります。
「上顎前突の矯正歯科診療」に関して医療現場で必要とされるであろうクリニカル・クエスチョンを本ガイ
ドライン作成ワーキンググループ構成員が抽出し、これらのクリニカル・クエスチョンに対して、現時点で推
奨される考え方を記載しています。一方、取り上げたクリニカル・クエスチョンに対してその多くのもので、
十分な根拠が存在しないこともその過程で明らかになってきました。検討するための文献の学術的担保が不十
分である、あるいは、クリニカル・クエスチョン自体の十分な定義がなされていないが故に削除すべきものが
ありました。II 期治療に対する I 期治療の意義に関するもの、歯列弓拡大に関するもの、II 期治療における抜
歯治療に関するもの、ハイアングルケースの治療に関するもの、オーバーコレクションに関するもの、二態咬
合に関するもの、顎間ゴム、アデノイド切除が顎発育に及ぼす影響に関するもの、です。将来、本ガイドライ
ンを改定する中でこれらのクリニカル・クエスチョンについても検討する必要があると考えています。
この中に

Ⅱ期治療に対するⅠ期治療の意義、歯列弓拡大、オーバーコレクションに関するものは検討するための学術的担保が不十分であると書いてある、つまりこれは混合歯列期から非抜歯拡大矯正をすることはその効果は保証されないということです。

また、混合歯列期中期から歯列矯正しても、永久歯列完成に歯列矯正を始めても差がない。ということでもあります。
ですが、そんなの当り前で、患者が顎間ゴムをさぼったり、ヘッドギアをさぼったら治療結果は悪いものですし、それでも患者は使っていると言い張るかもしれません。(歯列矯正をやっている歯科医なら、患者のサボりで苦労した経験がある筈です)それに、そもそも効果を測定することが不可能です。まったく同じ人物が2人いて比較対象の試験が行われたら効果が測定できますが、それは不可能だからです。











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