矯正症例167 AngleⅡ級1類
初診時13歳、抜歯部位:上顎左右4番、8番、下顎左右5番、治療期間4年3か月、治療費総額129万円(税込み)

この症例は他院からの転院症例でした。他院では幼稚園から小学校4年年まで第1期治療と称して4年矯正をしています。その後小学校6年の時に第Ⅱ期治療をそろそろ開始しないといけないと言われています。何か思うところがあったのでしょう、当院へ来院しました。1年程待ってもらって7番が生え揃ってからはじめました。結局抜歯が必要となるので、第一期治療は全く無駄な治療でした。

上の写真は上下の正中を合わせようとしているところです。結局想定した治療期間より長期化しました。この原因は、下顎の成長に伴う顎位の変化と歯ぎしりが原因となる咬合の変化、歯牙形態の変化に対応することで通常の矯正治療に比べ多くの時間が必要となったからでした。
これはどのようなことかというと、下顎の成長が垂直方向成分が大きく水平方向の成長が少なく、治療中に前歯部のバイトが空いてきたからです。その他として犬歯小臼歯の咬耗でわかる通り歯ぎしりが酷く、咬合を好ましい状態へ持っていうまで時間が必要でした。

上顎前歯部は過剰な歯肉でクラウンの縦と横の比率が悪いので歯肉切除による歯冠延長術も考えたのですが、諸事情を考慮して止めました。10歳台前半で開始して恐ろしく時間がかかった症例ですが、このような症例は初めてです。大変勉強になりました。治療期間の長期化に対し患者、保護者が文句を言わず黙って付いてきてくれたのは幸運です。
歯列矯正には以下のリスクを伴う場合があります。
1最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
- 2歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 3装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 4治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
- 5歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。ブラックトライアングルの出現があり得ます。
- 6ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- 7ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 8治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 9治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 10様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 11歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
- 12矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 13装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 14装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 15装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
- 16あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 17治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
- 18矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。